|  |  滋賀県のセッティングは初めてです |  | 
								
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											以下のようなメールを頂戴しました。
 
 このように細かく丁寧な内容を記される方は音に求めるものも拘りを持っていらっしゃるはずです。メールでは微妙なニュアンスを感じ取るには限界がありますのでリアルタイムで会話の出来る電話で詳細を教えて頂きました。
 
 ご自分なりに色々とやってみたらこの最近随分と音が良くなったそうですが、何をやっても音はコロコロ変わり、それらを知れば知るほどに、また試みればみるほどに誰でもが力の限界を感じるものです。
 
 ステレオの事を気にし始めると肝心な音楽を楽しめなくなるというのが今の悩みと打ち明けられました。サラリーマン生活を無事定年まで迎えられこれからの人生を有意義に過ごす為にも機器いじりを卒業して、音楽を楽しむことに専念したいというのがご希望のようです。
 
 
 
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																																		 ----- Original Message ----- From: Y.M
 To: info@rosenkranz-jp.com
 Sent: Sunday, July 02, 2006 8:38 PM
 Subject: B&W 802のセッティングについて
 
 
 貝崎静雄さま
 
 滋賀県に住むY.Mと申します。
 スピーカセッティングについて、特にスピーカベース、インシュレータについてです。
 :ご多忙とは存知ますが、よきアドバイスを願いいたします。
 
 1. 部屋
 :4mX5mの長方形。
 :床、壁、天井とも12mm合板化粧材+12mm合板+25mmの吸音材入り発泡スチロール材。
 :スピーカ背面。二重窓、はめ殺し。カーテンあり。
 :スピーカ正面、通常のサッシ窓、ただし防音を考慮して三重窓。カーテンあり。
 :その前にソファを3つ、それが指定席です。
 
 2. スピーカ
 :部屋の4m壁を後ろにして置いています。表題の通りB&W802です。
 :スピーカベースは中国産御影石。
 :インシュレータは山本音響工芸のOB12、凹面側のみ使用。ただし4点支持のため、安定せず、がたつきあり。
 
 3. メインアンプ。
 :アキュフェーズ A-50V。
 
 4. CDプレーヤ。
 :アキュフェーズ DP-70。
 :メインアンプとCDプレーヤーは直結です。
 
 5. そして質問です。
 :スピーカベースとインシュレータについてアドバイス、および適合する御社の製品。
 :4点支持のがたつきを何とかできないか。3点支持に代える。これは方法がわからない。クリプトン社のミスティックホワイトを持っています。これを何枚か敷いたらどうだろうか。またはガタが出ないインシュレータ?
 
 好み、クラシック主体です。
 :分解能が高く透明感あり、包まれるような音が好きです。
 :自然に楽器数の少ない室内楽、器楽曲、少し振って協奏曲となります。
 :本当は、楽器数の多い交響曲を聴きたいのですが。
 
 最近、レーザセッターを買いました。
 :それと見よう見真似のセッティングで多少は良くなったかな、と思ってます。
 
 それではよろしくお願いいたします。
 
 Y.M
 
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 名神草津サービスエリアで待ち合わせです。草津に入るのは初めてですが結構広い町です。大学の移転等で人口が増え、今滋賀県の中では注目の町だそうです。閑静な住宅街の一角にオーディオを楽しむための部屋を贅沢にも二重、三重窓で作っています。
 
 良い音にしたい!、そんな信念にも近い強い思いが音にしっかりと現れております。802のお宅には数知れず訪問しましたが、上質な音で上手く鳴らしている珍しい例でした。その中でもちょっと気になったのはいつもより重たい感じの低音です。スピーカー周りの床をコブシの下側でドスドスと叩いてみましたところ根太が通常より少ないみたいです。
 
 
  普通は45センチピッチですが、この部屋はどうやら90センチピッチのようです。この床の癖がスピーカーから出てくる音と同時に混ざって聞こえていたのです。この音に耐え切れずY.Mさんは御影石に走ったのでしょう。こうした場合のその方法は一つのセオリーでもありますのでよく理解できます。15年ほど前までは私もこの方法をお客様に薦めていました。 
 ただボールキャスターの付いた802を直接御影石の上に載せたのではキツイ音がしますので、それを緩和させる為に穴を座具ッたウッドブロックを間に入れてあります。石と金属の間にはこの方法しかありません。しかし、惚れ惚れするような音を出すまでには到底至りません。
 
 
 
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									|  |  座布団の上にスピーカーを載せた状態での試聴 |  | 
								
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											スピーカーの受け方も重要ではありますが、もう一つ大切なのはスピーカーを起点とする床との振動のタイミング周期が合ったポジションに置いてやることです。
 
 この場合のタイミング周期とは、床の前後への振動周期がスピーカーのポジショニングポイントに戻っては発し、そして常に収束する事です。無限大の∞の中央のクロスポイントにスピーカーがあるようなイメージです。
 
 先ず御影石を外し、スピーカーの下にはお借りした井草仕立ての座布団を履かせます。この状態ですと床に傷をつける事無くスピーカーを簡単に動かせます。音を聞きながらスピーカーのベストポジションを探すのです。その間1〜2分でしょうか、あっという間に完了です。
 
 B&W専用のインシュレーターはお伺いする前から導入意思が固まっていたようですからこの時点で既に装着しております。最近の私は腕を上げましたので、「カイザーゲージ」を使うまでもなく耳だけで確実にスイートスポットを探せるようになりました。
 
 この後座布団を外した状態で聴いて頂くつもりだったのですが、あくまで仮状態にもかかわらず結構な音がしております。急きょ予定変更で座布団の上にスピーカーを載せたままのゆるゆる状態で試聴して頂く事にしました。
 
 「ハイ結構です、それではこの状態でしばらくお試し下さいますか?」。
 
 振動に慣れるのに20〜30分は掛かりますので、エージングの意味も込めて結構ウルサイ感じのディスクをお願いしました。予定通り30分ぐらいすると音はドンドン良くなり、それと同時進行でY.Mさんの顔も見る見る緩んできます。
 
 そして、その直後です。
 
 Y.Mさんから我が耳を疑いたくなるような言葉を耳にしたのです。
 
 『カイザーさん今日は好きなようにやって下さい』。
 
 『予算の事は考えず、全てお任せします』。
 
 音がまだ3割も出来ていない早々とした段階でです。
 
 先を見越す力があるのか、それにしても簡単に言えることではありません。
 
 最近の事ですが、こうした言葉を掛けて下さる方がポツポツあるんです。
 
 私の出す音が多寡を超え、魂に触れるようになったのでしょうか・・・。
 
 いずれにしても有り難いお言葉です。
 
 
 
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  こうした信頼を頂きますと不思議と力がみなぎって来るんですよ。この後は当初の予定通りサウンドステーションを組んで本格的にスピーカーをセッティングです。床の弱い場合のセッティングはカイザーサウンドのお家芸です。 
 壁に近づけるほどに低音の量感は増すというのが世のセオリーです。ゆるい床の場合尾を引くような低音がありますので、出来たら低音をタイトに締めたいのは誰も思うはずです。しからば壁から離すのが普通です。
 
 でもカイザーサウンドでは可能な限り壁に近づけるのです。その中で床と振動のタイミングを見切って位置決めします。いつも口を酸っぱくして言っております。「丁度良いのが、丁度良いのです!」。
 
 壁に近づけて行っても低音がゆるくなるポイントと締まるポイントが交互に波のようにやって来ます。したがって壁に近づけば近づくほど低音の量が増えるというのは半分正解で半分誤りなのです。
 
 この場合「壁の影響」と、「床の影響」がありますが、私の場合は壁に近づけながらも床の振動の短いピッチを探し出しているから出来る事なのです。
 
 言ってみれば、「肉を切らして骨を断つ」速い術なるカウンターパンチです。
 
 速くて短い振動のピッチを床に発生させてやる手法です。
 
 このピッチに床全体が倍音乗せになるように「サウンドステーション」は設計してあるのです。
 
 こうしてY.Mさんのスピーカー802は快適なる居場所を見つける事が出来たのです。
 
 
  それに引き換えCDプレーヤーはパワーアンプの上に床に直重ねで冷遇されています。それでも部屋が良いおかげで、驚くような素晴らしい音になりました。インシュレーターを使おうかなとも思ったのですが、中途半端な形になりますので今回のところは止めです。 
 それより電源部を見直すのが先決と考え電源タップにナイアガラJr.Uを導入です。生き生きとした電気を貰った機器達はさらに成長した姿を見せてくれました。正直言ってここまでの音になるとは良い意味での想定外の出来事でした。今日は多分にラッキーな面があったのでしょう。
 
 
 
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									|  |  映像時の音も調整 |  | 
								
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  スピーカー背面には贅沢にもカーテン代わりに電動スクリーンが下りてきます。また、その手前には映像を見るための140インチのホワイトスクリーン。二重電動スクリーンです。このホームシアター時の音も確認しなければなりません。 
 いつもどおりの5.1チャンネルで音出ししてもらったところスクリーン上の人物の口から声が聞こえません。どこか別の場所で吹き替えの人が喋っているように感じるほど不自然です。センターチャンネルのスピーカー配置はどうなっているのか尋ねますと、天井近くに棚があってその内部に収めてありました。
 
 
  脚立を借りてその状態をチェックしますとB&W805が横置きにしてあります。湾曲した側面を下に置いてあるのですが、奥行き高さ共にスペースが充分ではなく理想の位置に向けて置く事が出来ません。メインスピーカーと位相がまるっきり反対なのです。これが不自然さの原因でした。 
 そこで提案です。型どおりの使い方ではなく、メインスピーカーから声が出るように2チャンネルモードに切り替えてもらって確認します。これで自然な声の出方に変わりました。最近のスピーカーは横への志向性が広いので幅広間隔にスピーカーをセッティングしても中抜けすることなくセンター定位するのです。当面はこの方式でお楽しみ頂く事としました。
 
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